家庭菜園で野菜栽培をする場合の良い土の条件

野菜作りは土次第です。良い土なら何もしなくても野菜は元気に育ちます。良い土とはどんなものでしょうか。保水性、保肥性、通気性、排水性を良くすることやPH6~7の弱酸性にすることが良い土にする条件です。すなわち、土の構造は「団粒構造」が良いのです。



良い土の物理的条件(保水性、保肥性、通気性、排水性)

土は植物に水や酸素や栄養を補給したり、急激な温度変化を緩和したりして植物を守って育んでいます。更に、土は植物の栄養源となる有機物を分解する土中生物(微生物)に生存場所を提供しています。土がなくては植物は育たないと言っても過言ではありません。

具体的に、植物に良い土の物理的条件とはどんなものでしょうか。まず、水分や肥料分を保持しておける「保水性」と「保肥性」があることが重要です。次に、根や土中生物に酸素を送る「 通気性楽天 」があることも重要です。そして、根腐れや酸欠の原因となる過剰な水分を土中に残さない「排水性」があることも重要な要素となります。

その他の条件として、根が植物を支えるための適度な重みがあることも重要です。ふわふわの綿のような土では具合が悪いということです。また、植物が病気を起こす病原菌を含まない土であることも重要です。

これらの条件を偏りなくバランス良く備えた土が良い土で、一般的に多くの植物の生育に適しています。

良い土の化学的条件(PH6~7の弱酸性の土が一般的に良い土です)

良い土の化学的条件としては、土中の酸性、アルカリ性「PH」が適当かどうかということがあります。PHは水素イオン濃度を表し、その値が7で中性で、それより小さい数値の時は「酸性」で、7より大きい数値の時は「アルカリ性」となります。

植物にはそれぞれに生育に適した「最適PH」を持っていて、それよりかけ離れたPHの土で育てると植物は生育障害を起こし、うまく育てることができません。

我が国で一般的に栽培されている野菜はPH6~7の弱酸性を好む植物が多く、この範囲内ならばうまく成長する植物が多いようです。

しかし、土のPHは放っておけば、降雨で酸性になるのが普通です。雨の多い日本では何もしなければ、土は酸性になっていくので、野菜等を育てるには定期的に土に石灰を撒く必要があります。

土のPHを測定する方法

土のPHを測定する方法は、一般的には簡易 PH測定器楽天 やPH測定キット等で測ることです。自分の畑の土を自分で簡単に測定することができます。

測定用の土は、畑の四隅と中央の位置で深さ約5cmの所から取ったものを使います。しかし、この測定値は簡易的なものであり、正確に調べたいのであれば専門家に依頼するしかありません。

普通は市販されている簡易PH測定器やPH測定キットで測定すれば十分でしょう。酸性かアルカリ性かだけでもわかれば良い場合もあります。

ブルーベリーの栽培には、酸性土壌が適しています。普通の畑に植えた場合、うまく生育できないことがありますので注意してください。この場合、ピートモスなどの酸性の物を土に混ぜると良いでしょう。

土の構造は「団粒構造」が良い

土の団粒構造

このように、物理的、化学的に良い土を考えてみると、保水性、保肥性、通気性、排水性を良くしようとすると、土の構造は「団粒構造」が良いことがわかります。

この図のような土の団粒構造は次のようになっている土のことです。土の小粒子が集まった団粒の中には細かい隙間があり、毛細管現象(毛管現象)により、水を蓄えることができます。

また、団粒同士が結合してできる大きな隙間では、水がすぐに流れてしまい、保水性はありませんが、通気性や排水性には優れていると言えます。

有機物が多いと団粒構造になりやすい

土の小粒子同士をつなぎ止めているのは小さな「腐植」(有機物)です。これは、土壌中で糊のような役目を果たしていて、肥料成分を蓄える機能をも持っています。

堆肥や腐植そのものが肥料の貯蔵庫となっていて、適宜に、じわじわと、植物に栄養を供給しているのです。

降雨による急激なPHの変化を緩和するのも腐植の働きです。この腐植は土中の有機物が微生物によって分解されたものです。

土に堆肥などの有機物を混ぜるのは、この団粒を作るためでもあります。有機物が多いと団粒ができやすいと言えます。未分解の有機物であっても土に隙間を作って通気性を良くする働きがあります。

土は微生物の化学工場

土の中は微生物の宝庫です。草や野菜のくずが土に混入すると、微生物がこれに付いて有機物を分解していきます。

微生物が居なかったら土は本来の土とはなりません。野菜をうまく作ることができるのは実は微生物の働きなのです。

稲を栽培している田んぼの中を見ると、目で見えるだけでも、様々な小さな生物を無数に見るこができます。目に見えないもっと小さな微生物も多く、ドロドロの土の中には数えきれない程の微生物の塊になっています。