果樹の接木の方法

接木をすると良い品種の果樹を簡単に増やすことができます。寒い時期に剪定した穂木を冷蔵庫で保管しておいて、3月下旬~4月上旬に接木をします。接木のコツは形成層同士をうまく接触させることです。



穂木の採取とロウ揚げ

柿の木の接木用穂木の写真

良い品種の果樹を育てたり、増やしたりする為に接ぎ木を行ないます。剪定時に切り取った枝を、接ぎ木が可能な春まで穂木として保管します。この写真のように芽を2~3個残して切っておきます。

そこで、穂木が乾燥しないように、「接蝋」を使ってロウ揚げと呼ぶ作業を行います。穂木のロウ揚げには、接蝋という商品名で売られている 楽天 (ロウ)を使用しますが、ロウソクの蝋でもかまいません。ロウを湯煎で溶かして、穂木を1秒程度浸けてやります。

穂木の保管

接木をする適期になるまで、穂木を新聞紙とビニル袋でくるんで冷蔵庫の野菜室で保管します。冷蔵室に入れる場合は、冷気の吹き出し口から離れた位置に置きます。冷気の吹き出し口の近くだと凍ってしまいます。

果樹の接木の方法

柿の木に枝接ぎした写真

一般的によく行われている接木の方法は、この写真のような「枝接ぎ」と呼ばれるものです。芽を持った枝を穂木にして台木に接ぐ方法です。

接木の種類を穂木と台木の切り方によって分けると、「切接ぎ」と「腹接ぎ」と「割接ぎ」とがあります。いずれも、切り口の形成層同士を接触させてやります。「腹接ぎ」は「芽接ぎ」とも言います。

接木のコツはいかに穂木と台木の形成層同士をうまく接触させるかに掛かっています。形成層は樹皮と硬い木部の間にあり、少し緑色をしている層です。また、穂木を乾燥させないように手早く作業をしてください。

失敗の少ない接木の方法(腹接ぎや芽接ぎ)

「腹接ぎ」とか「芽接ぎ」と呼ばれる接木の方法は、台木の樹木の横の皮と形成層を薄く削って、そこに穂木の芽の部分も同様に削って接木する方法です。何度でもやり直しが可能です。

また、この方法は台木を横に切断しないので、一本の台木に何箇所でも接木が可能です。もし、接ぎ木に失敗しても、元の台木が枯れることがないのが特徴です。

接木した後はビニルテープできつく巻きます

接木した後、その部分をビニルテープできつく巻きます。テープを少し伸ばしながらやるとうまくいきます。雨が接ぎ木部分に入らないようにテープは何重にも巻いてください。

その後、保温や保湿の為に全体にビニール袋を被せる人もありますが、何もしなくてもかまいません。うまく芽が出ると思います。

接ぎ木部分の全体にビニール袋を被せると、接ぎ木部の芽が出た後、ビニール袋を外すのを忘れないでください。忘れると、春になって直射日光で温度が上がり過ぎることがありますので、注意してください。

1つの台木に複数の品種を接ぎ木する

例えば、1つの柿の台木に富有柿や西条柿などの複数の穂木を接ぎ木することもできます。そうすると、1本の樹から両方の果実を収穫できます。

接木した柿の木から芽が出てきました

接ぎ木した穂木から芽が伸びた写真

4月の初めに接木した柿の木が、6月初めになると、この写真のように芽が大きくなってきました。膨らんだ芽が小さい内は、毛虫に食べられないように注意しましょう。

私は何度か毛虫に食べられました。そこで、その対策として、接木部分をミカンを買った時に付いて来る赤い網で覆ってみました。これは効果が抜群で、虫に食べられることはありませんでした。お勧めです。

接木したテープは当分は外さないようにします。また、接木した部分には外力が掛からないように注意してください。

接ぎ木した部分は弱いので折れないように補強します

接ぎ木した上側の枝が大きくなって来ると、風が吹いたり果実の重みで、接ぎ木の部分に大きな力が掛かることがあります。

骨折した時の添え木のようなものを、接ぎ木部分に当てて、紐で縛って補強してください。せっかく、うまく接ぎ木が成功したのに、台風などで折れてしまうことがよくありますので注意してください。私も何度もこのような経験があります。

接ぎ木をしてから3年程経過すれば、接ぎ木部分の幹も太くなってきますので、簡単には折れませんが、他の部分に比べれば弱いことは確かです。