苗代の作り方(水管理の楽な苗床)

苗代とは溝を掘って苗床を高くして作るものだと思っていませんか。従来、私もそのように思っていました。しかし、私は工夫して苗床を低くしてみました。結果は、苗代の水管理がとても楽になりましたので紹介します。



従来の苗代と私の考えた苗代(苗床)

従来の苗代と私の考えた苗代

従来の苗代での育苗はこの図の上のように、近所のどこの家でも、溝を掘って 苗床楽天 を高くして作っていました。私の家でも長年この通りに何の疑問も無くやってきました。

しかし、この方法では苗の水管理に苦労することが多かったのです。水があまり豊富ではない時期に多くの水を必要として、水をいつも貯めておくのが困難だったのです。

そこで私は昨年から少し工夫をしてみました。つまり、苗床の周りには、ほとんど溝を掘らないで、苗床そのものを低くしたのです。

この図の下の図のように、苗床部分を他より低くして、水が少しでも苗に水が行くようにしたのです。私の家の苗代は家のすぐ傍にあり、川から水が引けないところにあります。谷川を流れる水はわずかで、滲み出してくる水を利用していたのです。

このようにすると、滲み出した水だけで苗代の水をまかなうことができるようになりました。つまり水管理が全く不要になったのです。多すぎる水は勝手に出て行くようにしました。

このように水を少なくして管理するには、苗代の下にビニルシートを敷いて、その中に水を溜めて完全にプール育苗にした方が良いかも知れません。でもポット苗のプール育苗はポットの下に土が全く無くても可能なのでしょうか。

ポット苗のプール育苗では、浮きを使ってポット苗を水に浮かべてやる方法があるみたいです。今度はこれでやってみたいと思っています。

苗床を低くして底を水平にする

苗床を低くして底を水平にする

苗代にする位置に必要な寸法の場所を確保します。我が家の場合は、この写真のように縦約10m、横約2mの場所を掘り下げました。

耕運機で耕した後で、少し水を入れてからやると水平がよくわかります。田植えをするわけではないので、特に練る必要はありませんが、モグラの穴を塞いだりするのには少し練ってやる方が良いかも知れません。

肥料として鶏糞や牛糞や菜種粕等の肥料を適度に撒いてやります。

この後、一週間程そのままにして土を落ち着かせて固めます。というより、今度の作業は一週間後にするのです。

ポット式苗箱を苗代に並べます

ポット式苗箱を苗代に並べる

苗床に根切りシート(黒い網目のシート)を敷きます。これはポット苗をはがしやすくする為です。

ポット式苗に籾を撒いた後で苗代にポット式苗を並べてやります。

ポット苗2枚分の広さの板を2枚用意してポット苗の上に置いて、その上に乗って全体重を乗せて均等に押えてなじませます。

2枚の板を使う理由は、1枚の板の上に乗ったら他方の板を移動できるからです。いちいち下に降りなくても良いのです。

トンネル用フレームと育苗シートを設置する

ポット苗を並べたら、苗の上に育苗シートのトンネル用の鉄製のフレームを置いてから、水稲用の白い健苗シート(育苗シート)をかぶせます。

水を一度苗の上まで入れて、次に少し水を減らしてこの写真程度以下の水で苗を管理します。この後、溝の水は少なくしてしまう方が良いようです。水が多くても少なくても発芽しません。時々育苗シートを外してポット苗の状態を確認しましょう。

ポット苗で育苗箱の上面まで水を入れたままにして管理すると「根上り」という現象が起きます。つまり根が上側で隣のポットの根と絡みあいます。そして田植えがうまくできません。

この写真は苗箱を並べて育苗シートのトンネル内に入れた直後のものです。育苗シートが風で飛ばされないように土を置いたり、木や竹でシートを押さえたりしておきます。(撮影、2010年4月17日)

ポット式苗代に苗が育ってきました

ポット式苗代に苗が育ってきた

健苗シート(育苗シート)は白色又は銀色をしています。光を反射するので苗代内の温度が異常上昇しません。透明のビニルシートでは苗が焼けてしまいます。

私は前年に、この事を知らずにビニルシートを使って苗が焼けてしまい、苗代の管理に失敗して苗がなかなか大きくなりませんでした。今年はたぶんうまくいくでしょう。

この写真は苗代を作ってから約3週間後の苗の状態です。このように、端から見ると良いようでも反対側は全くうまく育っていない場合があります。

面倒でも育苗シートを外して全体を見ましょう。私はこれをせずに失敗したことがあります。