ビニルハウスでのプール育苗の方法

私は、長年従来の方法で稲の苗代を作っていましたが、毎年のように失敗を繰り返していました。ビニールハウスを建てたのでこれを使って、ポット苗のプール育苗に挑戦してみました。温度管理と水管理が格段に簡単になり、良い苗ができるようになりました。



苗代の苗床部分の整地とプール用ビニールシート

プール用ビニールシートを敷く

ビニルハウス内でプール育苗をするには、苗代となる位置に必要な寸法の場所を確保します。我が家の場合は、この写真のようにビニールハウス内に縦約5m、横約2mの場所を整地しました。

正確な水平を出す為には、水準器と約2mの長さの真っ直ぐな木の棒を使って測定します。地面を整地しながら何度も測定して完全に平坦で水平な地面にします。

ビニルハウスが大きい時は、水盛りやレーザー式の水準器で正確に水平を出してください。

この作業はとても重要です。水平が出ていないと、後の水管理が大変です。稲の生育にも影響しますので、入念に行なってください。

プール育苗には、苗代の下にビニルシートを敷いて、その中に水を溜めてプール状にして育苗します。この写真は、水が漏れないように手持ちの厚めのビニールシートを二重に敷いています。

毎年、地面の水平を出す作業が大変なので、ビニルハウスのパイプの基礎部分にコンクリートブロックを正確に水平にして固めておくのも良いかも知れません。そうすればパイプも長持ちします。

ポット式苗箱を苗代に並べます

ポット式苗箱を苗代に並べる

プール用の ビニルシート楽天 の上に稲の種を蒔いたポット式苗箱を並べていきます。今年は苗箱が少ないので、この写真のように横幅が約90cmで並べました。普通は横幅約120cmで並べます。

その後、ビニルシートの外側の土を寄せて、プールに水を貯められるようにします。土の代わりに、竹や木を置いて高くしても良いかも知れません。

苗の上に育苗シートのトンネル用の鉄製のフレームを置いてから、プール用ビニルシートの端をこの鉄製のフレームに洗濯バサミなどで止めます。

水稲用の白い健苗シートをかぶせます

水稲用の白い健苗シートをかぶせる

その後、水稲用の白い健苗シート(育苗シート)をかぶせます。

水を一度苗の上まで入れて、次に少し水を減らしてポット苗の上面より少し下くらいになるように水量を管理します。

ポット苗で育苗箱の上面まで水を入れたままにして管理すると「根上り」という現象が起きます。

つまり根が上側で隣のポットの根と絡みあいます。そのような苗では田植えがうまくできません。

温度管理と追肥など

ハウスの温度管理は通常通り行ないます。つまり、夜間はサイドを閉めてやり、温度が下がるのを防止します。昼間はサイドのビニールを上げてサイド換気して、温度が上がり過ぎないようにします。入り口も開けておいた方が良いでしょう。

何日も家を不在にする場合は、サイド換気を常にしておきましょう。ハウス内部の育苗シートだけでも保温できますので、大きな問題はありません。この辺がビニル温室内の育苗の便利さです。

また、温室内では風でシートが飛ばされることはあまりありませんので、これもビニルハウスのメリットです。

追肥は苗の生育具合を見ながら、適宜に液肥をやります。一度に多くやり過ぎないようにします。

ポット式苗代に苗が育ってきました

ポット式苗代に苗が育ってきた

健苗シート(育苗シート)は白色又は銀色をしています。光を反射するので苗代内の温度が異常上昇しません。透明のビニルシートでは苗が焼けてしまいます。

この写真は苗代を作ってから約3週間後の苗の状態です。このように、端から見ると良いようでも反対側は全くうまく育っていない場合があります。

面倒でも育苗シートを外して全体を見ましょう。私はこれをせずに失敗したことがあります。

生育後期の温度管理

苗が育ってくると、徒長しないように温度管理が重要となってきます。つまり、ハウス内と外の温度差があまりないように管理する必要があります。当然、育苗シートは外します。場合によっては、ポット苗床を外に出すことも考えます。