良い土を保つ方法(毎年の土作りのやり方)

一度野菜作りに良い土を作っても、そのままでは良い土の状態を維持することはできません。毎年土の手入れをしてやらないと植物の生育に適した環境にはなりません。有機質を補給したり、荒起こしや寒ざらし、毎年違った種類の野菜を作る輪作をしたり、天地返しをすることです。



植え付けの約1ヶ月前までには有機質資材を補給します

野山の土では落ち葉や動物の死骸で自然に有機物が補給されますが、畑の土壌中の有機物は、微生物の分解や野菜等を収穫すると、毎年少しずつ減少していきます。その為、堆肥や有機肥料や落ち葉等を入れて有機物を補給してやらないといけません。

毎年入れる有機物の量は、1平方メートル当りおよそ1~2kg以上は必要です。その上に野菜の生長で消費される有機物分も補給する必要があります。

荒起こしと寒ざらし

小型耕運機の画像

畑の土は冬場に荒起こしと 寒晒し楽天 をすることで地力を取り戻すことができます。荒起こしとは、地中の土を荒く掘り起こすことです。そうすることで、地中に埋もれていた土が地表に現れます。

寒晒しは寒い時期にその状態を1ヶ月以上維持することです。冬の土中に居た害虫や病原菌を地表の寒さにさらして死滅させるのがその目的です。

寒ざらしをすることで、夏の病害発生期の被害を少しでも減らすことが可能となり、非常に有効で簡単に効果を確認できる方法です。

最近、水田でジャンボタニシが増えて困っている農家があります。この場合は冬の寒い時期に荒起こしと寒晒しをすることで、ジャンボタニシを減らすことができます。何度も天地返しをすると効果があるようです。

輪作で連作障害を防ぎます

同じ畑で同じ作物を毎年作ると、次第に収量が減ってきて良い野菜が作れなくなってきます。これを連作障害と言います。

連作障害となる理由は、栽培した植物に取り付く病原菌やセンチュウが増えて起こる場合と、その植物が必要とする特定の養分だけが特に欠乏して起こる場合があります。

連作障害は品種が違っていても、同じ「科」の野菜間でも起こります。例えばナスとトマトを続けて作付けすると連作障害となります。

連作障害を防ぐには同じものを同じ畑で作らないように「輪作」をすることです。同じ畑では毎年違った種類の野菜を作るようにすることで、病原菌や土壌養分の偏りを防ぐことができます。

土の天地返しをします

以上のような土の荒起こしと寒ざらしと輪作をしていても、土の劣化が起こってくることがあります。このような時には5年に1回程度の頻度で、土の天地返しをします。つまり上土(表面にある土)と下土(下層の土)を完全に入れ替えます。天地返しは土壌改良法のひとつです。

これをやるには、上土をどけておいて、下土を別の所に置いて、上土を下層に戻して、下土を上層部に戻します。これを少しずつやると効果的です。広い畑でこれを行なうにはとても労力が必要です。重機(バックホウ)を使えば簡単に行なうことができます。

私が子供の頃は、牛を使って鍬(スキ)で田畑を耕していましたが、これは土の天地返しをやっていたことになります。

肥料と堆肥の違い

堆肥も肥料の一種です。しかし、肥料は堆肥とは限りません。堆肥は肥料分や栄養分を含んでいますが、主に「土壌改良資材」です。肥料は栄養分を多く含んでいますが、土壌を改良する効果は低いのが普通です。ここで言う肥料とは主に化学肥料のことを言います。