ロケットストーブの特徴と構造
ロケットストーブは簡単な構造でも燃焼効率が良いので、DIYで自作される方が多いのですが、うまく作らないと効率良く燃えなかったり、煙が逆流したりします。一旦作ると改造したり変更したりするのが大変なので、製作で注意する点について調べてみました。
ロケットストーブの特徴
ロケットストーブは、ヒートライザーと呼ばれる垂直の燃焼部を使って高温で完全燃焼をさせるのが特徴です。「ロケットストーブ」の名称は、燃焼部のヒートライザーと呼ばれる部分がロケットの噴射口のようにゴーという音をたててよく燃えることから付けられました。
ロケットストーブは、一般的に、ドラム缶やペール缶やレンガや土や煙突材料などを使ってDIYで手作りする調理器具兼暖房器具で、1980年代にアメリカで考案されました。
比較的簡単な構造にもかかわらず、昔の 薪ストーブ楽天 と比べて燃焼効率と熱の回収効率が格段に良くて、使う薪の量を大幅に(約半分以下に)減らすことができます。
また、高い温度で完全燃焼に近いので煙はほとんど発生しません。その上、熱の回収が格段に良いので、排煙の温度が低く煙突が高温になりません。
ヒートライザーの上部は高温になるので、調理をすることもできます。そのすぐれた熱効率から、「エコストーブ」とも呼ばれています。
ロケットストーブの構造と原理
この図がロケットストーブの構造と原理を表した断面図です。左側の薪投入口から薪(まき)を投入します。その下部で薪が燃焼しますが、煙は薪投入口からは出ずにヒートライザーの方に引かれて行きます。
次に垂直になったヒートライザー部で薪から出た未燃焼ガスなどは高温燃焼をして、効率良く熱に変換されるという原理になっています。この垂直部の長さが重要でこの長さが足りないと高温で燃焼しません。
ヒートライザー部分は高温になるので、その周りを断熱材で断熱します。この断熱によってヒートライザーの内部は更に高温になることができます。
熱の回収部分
燃焼で出た 排熱楽天 はヒートライザー部の周りの断熱部の外側の大きな外形の内側部分を下に降りて行きます。この時、多くの熱が放射と対流で回収され、ストーブとして機能します。
この後、横引きの煙突部でも熱を回収することができます。この横引き部分を長くしたり、大きくすることで、排熱温度を更に下げることができます。
ロケットストーブをうまく動作させるコツ
ロケットストーブをうまく動作させるコツは、垂直のヒートライザー部を長くして、更に断熱を良くして、できるだけ高温で燃焼させてやり、強い上昇気流を作ることです。この強い上昇気流によって吸気と排気をスムーズに行なうことができます。
横引きの煙突部分が長くて細くて曲がりが多い場合などは、排気がうまくいかない傾向があるので特に注意が必要です。
調理器具としての使い方
このロケットストーブを調理器具として使う場合は、ヒートライザー上部の鉄板の上に鍋などを置きます。この部分はストーブとしては一番温度の高い部分になります。
調理器具としてのみに使うなら、ヒートライザー部の上部の鉄板を取り除いて、その部分に鍋などを置くだけで良いので構造が更に簡単になります。この場合は排気が室内に排出されますので、換気の良い部屋か屋外などで使う方が良いでしょう。
これは、特に構造が簡単になるので、燃料投入口とヒートライザー部分だけで、断熱部を無くしたものでもよく燃えて実用化されています。
製作時の注意点
ヒートライザー部と薪の投入口は ステンレス製 煙突楽天 を利用して製作するのが一般的です。この為、高温になるヒートライザー部は温度による劣化が激しくあまり長持ちしません。
このヒートライザー部と断熱部を耐久性のあるレンガなどを使って作ると長持ちさせることができます。また、ヒートライザー部の上の鉄板も厚みのあるものを使うと耐久性が増します。
ヒートライザー部の長さは短か過ぎると高温で燃焼しないので、煙が逆流したり、よく燃えない原因になりますので注意してください。
薪投入口からは煙が出ないことになっていますが、場合によっては煙どころか火が出ることもありますので、注意して監視する必要があります。特に長い薪を直接入れた場合は入れたままには注意してください。
煙突部からは、タール(木酢液)が出るので、室内の場合は特にその回収方法を考えておく必要があります。
灰やススなどが発生するので、各部の掃除ができるように、分解できる部分を考えたり、掃除口を設けたりする必要があります。
ヒートライザー部の断熱材料
ヒートライザー部の断熱材料に使える物は、一般にホームセンターなどで簡単に入手できるパーライトやバーミキュライト、軽石、灰、耐火レンガなどがあります。
その他に、断熱材として使える物には、本格的な用途のキャスタブル耐火材や耐火モルタルなどがあります。