杉玉の作り方(DIYで杉玉を製作する方法)
杉玉は本来造り酒屋の軒先に吊るして、美味しい酒が出来た事を知らせるものです。しかし、最近は一般の人でも作る人が増えて、魔除けや「おもてなし」の意味で玄関先に吊るすことが多いようです。杉玉作り講習会で作った経験を元に杉玉の作り方を解説しています。
杉玉とは
杉玉とは、この写真のように、杉の葉を放射状の形に詰めて直径約30~50cmの球状にしたものを、造り 酒屋楽天 の軒先に吊したものです。お酒を仕込む頃に杉玉を作って、この杉玉が緑色から茶色に変わる頃美味しいお酒になったことから、造り酒屋で杉玉を祀る習慣になったものです。酒林(さかばやし)とか、久寿玉(くすだま)とか呼ばれることもあります。
この杉玉は私が杉玉作り講習会で作ったものを我が家の玄関先に吊したものです。杉玉を吊す高さはよく目立つようにと、目の高さに吊すと良いそうです。しかし、通り道だと邪魔になるので、目の高さより少し高い方が現実的でしょう。
杉玉の由来
神代(かみよ)の昔、人々が祝いの宴(うたげ)で酒を飲んで楽しく歌ったり踊ったりする姿を見られた神様が、自分も酒を飲んでみたいと、天上界から人間の住む世界へ降りようとされました。しかし、神様は人間が暮らす地上に降りることができずに、杉の小枝でうらやましそうに眺めていたそうです。
それを見た人々は、神様の宿るところとして杉玉を作って、お酒を供えて祀ったと言われています。その習慣から酒蔵や造り酒屋で杉玉を飾るようになったそうです。
杉玉は上と下の区別は無く、表と裏の区別もありません。その為、「おもてなし」(表なし)の心でお客を迎えるという意味で玄関先に吊るすそうです。
杉玉の作り方
杉玉の芯となる針金で直径約10cmの地球儀状のものを作ります。その針金の枠の中に杉の葉の根本側を数本まとめて差し込みます。後は杉の葉を1~2本ずつまとめて針金の枠に詰めていきます。
全ての枠に杉の葉をきつく差し込んだら、杉の葉が球形になるように刈り込みハサミで大まかに刈り込みます。大きさは約30cmにします。
杉玉の芯となる針金の枠と杉の葉の挿入
杉玉の芯となる針金は直径2mm以上の針金を使います。この写真のように直径約10cmの地球儀状のものを作ります。初心者は小さ目に作ってください。
芯ができたら、芯の上と下に吊り下げる為の麻縄かシュロの縄を結びつけます。
針金の枠の中に長さが約15~20cmの杉の葉の根本側を数本まとめて差し込みます。後は杉の葉を1~2本ずつ針金の枠に入れていきます。
差し込みの深さは約2cmとします。この深さが足りないと杉の葉が抜ける原因になります。深く差し込み過ぎると最後の方で、杉の葉を挿入するのが困難になります。
杉玉作り講習会の様子
この写真が講習会で杉玉作りをしている様子です。端から順番に入るだけの杉の葉を挿入していきます。
直径約1cmの木の棒を鉛筆のように尖らせたものを杉玉の枠の中に入れて、その棒を抜くと同時に杉の葉の軸を入れていくとうまく挿入することができます。
この木の棒を挿入することができない程きつく杉の葉を入れたら次の枠に杉の葉を入れていきます。これを繰り返して杉玉を球のようにします。
最後の方では、杉の葉は軸の少し太めのものを使うようにします。そうするとうまく挿入できます。杉の葉をキツ目に挿入しておかないと完成してから抜ける原因になります。
杉玉を丸くなるように刈り込んで球状にする
杉の葉の挿入が済んだら、杉玉を吊るして、杉の葉を球状に刈り込みます。これは、刈り込み鋏を使うとうまくいきます。もちろん、剪定バサミでも刈り込むことができます。
後は、綺麗な球になるように剪定バサミで少しずつ刈り込んでいきます。全ての工程を終えるのに私は約6時間掛かりました。
杉玉が完成したら、ご希望の場所に吊り下げます。普通は玄関に吊り下げるそうです。
杉玉作りに必要な道具や注意
杉玉を作るには、杉の葉や針金や麻縄の他に、ペンチや剪定バサミなどが必要です。服装は汚れてもよい服やズボンにします。また、エプロンもあった方が良いでしょう。軍手か皮手袋かゴム手袋もあった方が良いでしょう。素手ですると杉の脂(ヤニ)が付いてなかなか落ちません。また、手の指先が逆ムゲになります。
山陽新聞に掲載されました
2013年12月5日の山陽新聞朝刊の笠岡井原版に掲載されました。何人にもインタビューをしていたのですが、私のコメントだけが掲載されていました。
私のコメントは「かなり力がいるが、作り始めると面白い。玄関に飾りたい。」となっていました。確かに力が必要で、私のはらびき(岡山の方言で力いっぱい)の力でも足りないくらいの筋力が必要でした。手の指に豆ができました。