ナス(茄子)の効用、効能

ナス(茄子)の主成分は、9割以上の水分と糖質です。カルシウム、鉄分、カリウムの含有量は比較的多い方ですが、ビタミン類については多くはありません。しかし水分の多いナスは漬物に最適です。特にヌカ漬けにすると水分が減り、ビタミンB1やカリウムが2倍以上となり美味しくなって栄養分が多くなるという効果があります。



ナスの薬効成分

ナスの果実の写真

茄子(なす)は栄養的には特に良いと言われるものを多くは含んでいませんが、生体を調整する機能に優れている物を多く含んでいます。つまり、ナスの皮の黒紫色の色素、ナスニン、ヒアチン等のアントシアニン(アントシアン)と果実の中のアクの抗酸化物質のポリフェノールを多く含んでいます。

ポリフェノール楽天 は赤ワイン等に多く含まれていて、コレステロール値を下げて動脈硬化を防ぐ働きがあります。体内に発生した活性酸素を消去する働きもあります。

その他の成分では、ガンを予防する物質が野菜の中でも多く含まれていると言われています。

ナスは野菜なので、水分以外の多い成分は食物繊維です。便秘の解消や肥満防止にも効果的な食べ物です。

漢方から見たナスの薬効

漢方からナスを見ると「血」に関する病気の治療に用いる「理血類」に属する食べ物となります。

その薬効は主に「清熱止血」と「消腫利尿」です。言い換えると体内の熱を下げて、様々な出血に対する止血効果があります。また、利尿作用があり、ヘタの部分は腫れものに効果があるとされています。

また、性味は「涼」で、トマトと同様に体を冷やす食べ物に分類されています。体の冷えやすい人は食べ過ぎに注意します。

ナスの薬効利用の歴史

ナスの花の写真

この写真は茄子(なす)の花です。ナスは果実も茎も葉も花も紫色がかった色をしています。

ナス科の植物には、苦みの成分の薬効や毒性のアルカロイドを含むものが多いのが特徴です。

アルカロイドにはお茶やコーヒーのカフェインやタバコのニコチン等があります。ナスは主に薬用として原産国のインドからヨーロッパへと伝えられました。

熱帯地方では、ナス科の野生植物の葉を麻酔剤としたり、種子を刺激剤として使用していました。

ナスは奈良時代に中国を経て日本へ渡来しました。日本では、ナスのヘタを黒く焼いて塩を混ぜて歯磨き用として使い、歯槽膿漏の予防としたとか、ナスのヘタのすり下ろし汁でイボを取るとかの民間療法として利用されてきました。

ナスの加熱調理について

ナスは生で体に良い栄養成分を多く持っていても加熱をすることでその成分が失われてしまったのでは意味がありません。しかし、ナスは熱を加えても熱に強い栄養成分が多く、油で揚げたり、煮たり、焼いたりといった調理をしてもあまり問題はありません。

ナスの軟らかい果肉は油を多く吸うのでビタミンEが豊富な植物油等で炒めると抗酸化力が更に増進して好都合です。ナスの油炒めは私も大好きです。

ナスは焼いても美味しく食べられます。オーブントースター等で焼いて、皮をむいて醤油や酢味噌で食べます。ナスニンの効果を期待するなら皮ごと食べた方が良いのですが、焼き茄子の皮は食感が悪く皮ごと食べられませんね。

ナスはヘタの部分が一番美味しい

よく料理番組で、ナスのヘタをバサッと切り取って捨てていますが、ナスはヘタの部分がいちばんおいしいのです。ヘタの部分で捨てる所は最小限にしましょう。この部分が硬いと感じるのなら、切り込みを入れます。

「秋ナスは嫁に食わすな」の解釈について

  1. 「ナスは身体を冷やす」から妊娠中の体に悪いから嫁に食べさせない。
  2. 「種子が少ない野菜なので、子種がない、つまり子孫が絶える」から、跡取りを産む嫁に食べさせない。
  3. 「とても美味しくて、食べさせるのはもったいない」から憎い嫁に食べさせない。

どの説も納得できそうです。3は嫁と姑の争いのようにも思えます。この嫁というのはネズミを指すという説もあります。秋ナスは、えぐ味や種が少なくてとても美味しいのでネズミも好きなのでしょうか。

ナスの生での調理方法

生で食べるには、皮ごと適度な大きさに切って塩もみにします。次に一旦水にさらしてあく抜きをしてやります。よく絞ってから、酢と醤油と砂糖で味付けしてやると、とても美味しくなります。私は農家なので子供の頃から自分で作っていました。醤油の代わりに味噌で味付けするのも良いと思います。

農家ではナスの収穫時期には捨てる程の量が採れて、食べられずに処分に困ることがあります。この場合はナスを漬け物にするのが良いと思います。一度塩漬けにして、その後でヌカ漬けにしたり、辛子漬けにしたり、酒粕に漬けたり、味噌漬けにしたりします。

とにかく、我が家の茄子は食べられない程の量なので、夏から秋にかけて、茄子を生で食べたり、煮て、炒めて、焼いてと、色々に加工して朝昼晩の食事に食べていました。それでも飽きることはありませんでした。同時期にトマトとキュウリも大量に採れます。野菜ばかり、野菜中心の食事とはこのことです。

なすのへいとうもみ

岡山県の方言で「へいとう」という言葉があります。あまり良い言葉ではありませんが、「乞食」とか「物乞い」をすることを表しています。どういう関係で「茄子のへいとう揉み」と言うのかはわかりません。

私が子供の頃から、この言葉はよく聞いていました。上記のように、茄子を生のまま、塩で揉んで、水にさらしてあく抜きをしてやります。よく絞ってから、酢と醤油と砂糖で味付けしていました。これを「茄子のへいとう揉み」と言っていました。とても美味しいです。

体を冷やすナスと合うショウガやニンニク

ナスは体を冷やす食品です。そこでナスには古くからショウガやニンニクを同時に使って調理をすることが行なわれてきました。ショウガやニンニクは体を温める働きがあるので好都合だったのでしょう。ナスに添加することで美味しさも増します。