バックホウの選定と用途
バックホウ(バックホー、ドラッグショベル)は特殊な建設機械と思われていますが、農業にも便利に使えます。人力に比べて何十倍ものパワーと作業の効率化ができるのが魅力です。農作業に使う場合の中古バックホー(ユンボ)の選定方法と使い方を考えてみました。
バックホウ(ドラッグショベル)の選定方法
農業に使うのなら特殊な用途を除いて、あまり大きなものは必要ありません。免許の関係や移動のしやすさを考えると、機体重量3トン未満を選ぶ場合が多いと思います。機体重量3トン未満でも機械重量は3トンを超える場合がありますので車での運搬には注意してください。
機体重量2トン程度でも機械重量は3トン近くになる場合もありますので、この場合は2トン車で運搬することはできません。よく2トン車に3トン程度のバックホウを積んで運んでいるのを見ることがあります。積載重量超過ですので注意してください。
バックホウ(ユンボ)の大きさと運転資格
バックホウで 小型特殊自動車楽天 に分類されるものについては車検はありません。所有して市町村に登録すれば軽自動車税がかかります。
道路交通法では大型特殊または小型特殊に相当する自動車ということになります。公道を走るのなら、大型特殊か小型特殊の免許が必要です。そうなるとナンバープレートも必要です。市町村への登録も必要となります。自賠責保険も必要です。
バックホウの現場での運転免許のようなものは、労働安全衛生法では「車両系建設機械運転技能講習終了証」です。これが無いと運転してはいけないと言われていますが、自分の敷地の中で個人的な用途に使うのには資格は必要無いと思います。
特殊な機械なので、何の知識も無く使うと危険なので、講習を受けてから使うべきです。建設会社の仕事や自分で仕事を請け負うのならぜひ必要な資格です。
車両系建設機械運転技能講習には機体重量3トン以上と機体重量3トン未満(小型)の2種類の資格があります。私は所有しているバックホウが機体重量3トン未満なので1996年頃、小型車両系建設機械運転技能の特別教育を受けました。この講習は1日で終わりました。実地試験はありませんでしたが販売店等で実地技能講習をしたという証明が必要でした。
機体重量とは
車両系建設機械から、作業装置(バックホウなら、ブーム、アーム、バケット等)を取り外して燃料、作動油、潤滑油、冷却水等が入っていない質量で乾燥質量とも言います。機体に書いてあります。
機械重量とは
車両系建設機械に作業に必要な作業装置(ブーム、アーム、バケット等)を装着して燃料、作動油、潤滑油、冷却水等が入っている質量で湿式質量とも言います。これも機体に表示されています。
バックホウ(ユンボ)の定格の例(規格)
機体重量 | 1,600kg |
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機械総重量 | 2,120kg |
バケット最大積載量 | 120kg |
バケット容量 | 0.066m3 |
定格出力 | 17PS (12.4kW) |
最高走行速度 | 4.1km/h |
平均接地圧 | 0.3kgf/cm2 (29kPa) |
これは、私の使っているバックホー、三菱MM20CR標準仕様の定格の例です。
中古バックホウ(ユンボ)の選び方
- 価格はミニのバックホウの方が大型のものに比べて人気があるので割高です。
- 自分のしたい作業に適した大きさか、移動に使う車に積載可能かどうかも重要な要素です。機械総重量より少し大きめの積載量が必要です。
- 操作方法がJIS方式か、それとも特殊な方式かも確認します。
- 油圧部の油漏れや、その他のオイルの漏れががないかをよく見て選びます。
- 油圧ホースが痛んでいないか点検します。
- 油圧シリンダ部の変形がないかを見ます。
- キャタピラーの減りや、破損や変形の少ないものを選びます。
- バケットもできれば減りの少ないものを選びます。
- エンジンの調子や音に異常はないかをよく見ます。
- 冷却水の漏れがないかを見ます。
バックホウの農業への用途
この写真は牛蒡(ゴボウ)掘りに使っているところです。ゴボウは根が長くて土の深くまで入っているので、ゴボウの近くを予め深く掘っておくと後から簡単に掘ることができます。
バックホウは建設業だけでなく農作業にも使うことができます。田畑があまり整備されていない中山間部ではとても重宝します。一般的には大人の10人分以上の仕事をします。
私はこれを田舎に家を建てた1996年に中古で購入して使っています。家の周りの土の移動や石垣積みや井戸掘りや鉄骨の倉庫の建設や地下貯蔵庫掘りや暗渠掘り等に使ってきました。
元々畑しか無かった所に家を建てたので、まだまだ色々と整備する所がありそうです。業者に頼むよりも自分で好きなように考えてできるので、業者が普通ではやらないようなことも自分で工夫して作ることもできます。次にバックホウの用途を箇条書きにしてみました。
- 土を移動させるにはバックホウと共に、ダンプカーのように荷台が油圧で動く運搬車を使うととても便利です。
- 石垣を積む時、手では動かせない大きな石を動かすのに便利です。
- 深さ3~4m程度までの浅い掘り抜き井戸を掘ることができます。ブームとアームで届かない程深くなる時は、少し広めに掘ってバックホー本体を穴の中に入れて掘ります。(排気ガスには注意します)
- 鉄骨倉庫を建設する時、鉄骨をつり上げたり、重いシャッターを取付けたりするのに便利です。
- サツマイモやサトイモ等を貯蔵する地下貯蔵庫を掘る仕事は、バックホウが最も得意とする仕事です。
- 暗渠や明渠(溝)を掘ることも簡単にできます。出来合いの側溝を埋める仕事も簡単です。
- 田畑に行く道が狭くて車が進入できない道を広くしたりするのにも便利に使えます。
- 農作業に使うのならゴボウ(牛蒡)掘りに便利です。長いゴボウを折れないように掘るのなら最適ではないでしょうか。私も使ったことがあります。
- アスパラガスを植え付ける前に、堆肥を土中に深く埋め込むのには、土を深く掘る必要があります。このような用途にはバックホウは最適です。
- 水田の中の底に大きな岩や石があるのを掘り出したりすることも簡単にできます。
ディーゼルエンジンの始動方法
バックホーによってはエンジンの始動方法が下記のものとは異なるものもありますので、ご自分の所有されている機器に合った始動方法にされてください。
- エンジン始動前に燃料やオイルや冷却水や計器類の点検をします。
- 各操作レバーを操作できないように安全ロックレバーをロックの位置にします。
- アクセルレバーを最低速より少し引きます。
- エンジンキーをプラグを予熱する位置にして、そのまま保持します。
- 予熱ランプが消えたらエンジンキーを始動の位置に回します。
- エンジンが始動したらエンジンキーから手を離します。
- エンジンが始動したら、2~3分間最低速で暖機運転します。
- この間に充電ランプや水温のチェックもします。また、各部にグリスポンプを使ってグリスアップします。
バックホウ(ユンボ)の格納と日常のメンテナンス
- バックホウを使った後はバケットを地面に下ろしておきます。排土板も下げておきます。
- もし、できるならば、油圧シリンダーのサビを防ぐ為に、シリンダーをできるだけ縮めた状態にしてください。
- 安全ロックレバーをロックの位置にします。
- グリスを注入する部分が多いので、定期的にグリスポンプでグリスを注入します。特によく使うバケット回りは毎回グリスアップします。
- 潤滑オイル、作動オイルの汚れと量を点検して、少ない時は補充します。
- 水冷エンジンの冷却水(不凍液)の量を点検して、少ない時は補充します。
- ファンベルトの張り具合を時々チェックしましょう。これはダイナモ(発電機)の動作と冷却ファンの動作にも関係します。充電ランプと冷却水の温度にも常に注意してください。
- ディーゼル燃料タンクの中の燃料はいつも満タンにしておきます。そうしないと温度変化で燃料タンクの中に空気中の水分が結露して水が溜まることがあります。
- 時々バッテリーの液の比重と量を点検します。あまり使わない場合は、時々補充電をします。
- その他にも各部を時々点検して、不具合な所は修理しておきます。