穀物用ハーベスターの使い方とメンテナンス
バインダーや小型のハーベスターはコンバインの入らない小さな棚田でまだ活躍しています。ハーベスターは稲や麦に限らず蕎麦(ソバ)なども脱穀することができます。今回はハーベスターの使い方とその注意事項について私の経験から述べてみたいと思います。
私が子供の頃の米作農家では、秋になると手作業でのこぎり鎌を使って稲刈りをしていました。そして稲の束をハゼに掛けて自然乾燥をして脱穀機で脱穀作業をしていました。
それが次には、 バインダー楽天 で稲刈りと束が同時にできるようになりました。そして、稲架掛けをして乾燥した後の脱穀にはハーベスターを使うようになりました。
小型ハーベスターの各部の名称
これは私が使っていた穀物用の小型ハーベスターです。一般的にハーベスターは米や麦の脱穀に使いますが、胴の回転速度や投入量などを調整すれば、蕎麦(ソバ)などの脱穀にも使えます。
現在、私は稲の収穫全てにコンバインで作業を行っていますのでこのハーベスターは使っていません。使わないので今は手放してしまっています。
この写真のように稲を稲架掛け(はざかけ)にして乾燥した束を稲ワラ投入口より穂先側を脱穀胴の中に投入します。稲束の手前は稲束送り機構で脱穀されながら排出側に送られます。脱穀された稲の束は藁排出機構によりこの写真の左側に排出されて下に落ちます。
脱穀胴で脱穀された籾は選別されて籾袋に排出されます。籾以外のゴミは前部のゴミ排出口より排出されるようになっています。
ハーベスターは走行しながらでも脱穀をすることが可能なので、稲架掛けに沿って移動しながら作業ができます。
ハーベスターの使い方(脱穀方法)
まず、ハーベスターを使えるように組み立てます。稲ワラ投入口や藁排出機構やゴミ排出口や籾袋受けなどの組み立てをします。そして、籾袋受けの上に籾袋を10枚程セットします。
エンジンを始動させて暖機運転をしたら、運転レバーを脱穀の位置に入れます。次に脱穀する穀物に適した胴の回転速度になるようにエンジンのスロットルを調整します。無負荷運転の時は定められた速度より少しエンジンの回転速度を上げておきます。
稲の束の穂先を胴の中に入れて、手元側を藁送り機構に食わせます。この時、手先が機械に巻き込まれないように注意します。脱穀が正常にできるか、籾は異常なく回収されているか、ゴミと藁は正常に排出されているかどうかを確認します。
エンジンを始動する前の始業点検方法
- ハーベスターのエンジンを掛ける前に各部を見て異常が無いか点検します。
- ゴムベルトは消耗品なのでヒビや割れが無いか点検し、悪い場合は交換します。
- Vベルト等のゴム部品以外の動く部分に潤滑油を注油します。各種操作レバーのワイヤー部にも注油しておきます。
- グリスを注入する部分にはグリスポンプなどでグリスを注入します。
- エンジンオイルの量や汚れを点検し、異常があれば補充、交換をします。
- 空冷式エンジンの場合は放熱フィン部の掃除や点検をします。これは作業の途中でも適宜やります。
- ガソリンエンジンの場合は所定の燃料のガソリンを燃料タンクに入れます。
- 籾袋を所定の位置に取り付けます。
ガソリンエンジンの始動と停止方法
- 主クラッチを停止の位置にします。
- 脱穀レバーを停止の位置にします。
- 燃料コックを開きます。
- スロットルレバーを低速~低速から少し開いた状態の位置にします。
- エンジンが冷えている時はチョークレバーを引きます。
- エンジンキーのスイッチを「始動」の位置にしてスターターロープを引いてエンジンを回転させます。
- エンジンが始動したら、チョークレバーを戻して、2~3分間低速で暖機運転をします。
- エンジンの停止方法はエンジンキーを「切」の位置にします。
走行の仕方
- 走行クラッチを切った状態で高速、低速切替レバーを「高速」又は「低速」位置にします。
- スロットルレバーを適度に引いてエンジンの回転を上げます。
- 走行クラッチを静かに入れて走行します。スロットルを適度に調整します。
- 前進で右(左)に曲がる時は右(左)のキャタピラーを止めるレバーを引きます。
脱穀の仕方
- 全部のクラッチを切っておきます。
- 脱穀レバーを「脱穀」に入れます。
- エンジンの回転を穀物に応じた速度になるように、胴回転計で見ながら調節します。
- 稲ワラの束の先を胴の中に入れて手前を稲ワラ送り機構に食わせてやり、脱穀作業をします。
- 脱穀動作や各部の送り機構がうまく動作しているかどうかを確認します。
- 時々、胴回転計を見て、胴の回転が遅くならないように注意します。遅くなると、籾が詰まる原因になります。
- 袋が籾で一杯になるとブザーが鳴るので、早めに新しい袋に交換します。
ハーベスターを使う時の注意とメンテナンス
- 服装は長袖シャツと長ズボンを着用して、靴はゴム長靴を履きます。帽子や手袋も必ず着用します。これは体を保護する為でとても重要です。埃を吸わないように必ずマスクをします。
- ハーベスター作業をする近くに作業に必要な人以外が入らないように安全に気をつけて作業をします。
- 雨や夜露で濡れた稲を脱穀したりすると、うまくいかないことがあります。この時は、稲が乾くのを待って作業をするようにします。
- ハーベスターを長期間使用しないで格納する時は、燃料タンクの中の燃料を抜いておきます。
その他にも各部を点検して、使用中に気が付いた所や不具合な所は、今年の場合に限らず来年の為にも修理しておきます。