コンバイン(穀物収穫機)の運転方法とメンテナンス
コンバイン(穀物収穫機)の運転方法とメンテナンスについて記述しています。コンバインを使った稲の刈取りや田畑や道での走行方法やメンテの仕方を写真を使って詳しく解説しています。コンバインの各部の名称や基本的な使い方などは別のページで解説しています。
私が子供の頃の米作農家では、秋になると手作業で鎌で稲刈りをしていました。そして稲の束をハゼに掛けて自然乾燥して、脱穀機で脱穀作業をしていました。
それが次には、バインダーで稲を刈り、束にして、脱穀にはハーベスターを使うようになりました。ずいぶん便利になったなと思っていたら、最近は、ほぼ全ての農家でコンバインを使い、稲刈りと脱穀が同時にできるようになりました。
とても便利になりましたが、今度は籾の乾燥作業に 乾燥機楽天 を使い、灯油が必要になりました。何をするにも機械の力と石油のエネルギーを借りるようになりました。今では農家はそれらの機械をうまく使いこなす必要があります。
今回はコンバインの運転方法とメンテナンスと注意事項などについて私の経験から述べてみたいと思います。
コンバインでの稲刈り方法
この写真はコンバイン(ヤンマーのCA85)を前から見た写真で、刈取り部と運転席が見えています。刈取り部の左に倒れた稲を起こす装置を付けてあります。これはとても優れもので、株元さえ立っていれば、完全に倒れた稲もうまく起して刈り取ってくれます。
田畑の状態や穀物の種類によって、刈取り部の高さを調整しながら刈り取ります。
脱穀だけの動作と脱穀と刈取りの同時動作の切替は運転席の左横のレバーで行ないます。
まず、エンジンの回転を上げてから、脱穀部の動作をさせます。エンジンが規定の回転数になるようにスロットルを調整します。
その後、レバーを刈取り動作に入れてから、クラッチを離して適度な速度で刈り取っていきます。
コンバインでの刈取りの方法
- クラッチペダルを踏んでおきます。
- 脱穀、刈取りレバーを脱穀に入れます。
- エンジンの回転を胴回転計を見ながら所定の回転になるようにします。
- 脱穀、刈取りレバーを刈取りの位置にします。
- 刈取部上下レバーを前に倒して、刈取部を下げます。
- 変速レバーを作業をし易い速度(1~4速程度)にします。
- クラッチペダルを離して稲を刈取ります。
- 自動こき深さ調節スイッチを自動にするか、こき深さ調節レバーで胴に当たる穂先の位置を調節します。
- 籾が袋にいっぱいになったらブザーが鳴るので、刈り取りをやめて袋を交換します。
- 長いままの藁が必要な時は藁を切らないように設定して後ろに排出します。
コンバインの運転方法
この写真は運転席から見た各種操作レバーです。これらを操作して運転と稲の刈取りと脱穀をします。
通常は、こき深さは自動で使います。稲が倒れた場合や、田に水があって株元よりかなり上を刈る場合は、手動でこき深さを調整しても良いでしょう。
スロットルは胴の回転が穀物の種類によって決まった既定の速度になるように胴回転計を見ながら調整します。
道路や圃場での走行方法
- クラッチペダルを踏んだまま、駐車レバーを走行の位置にします。
- 高速、低速切替レバーを高速(低速)位置にします。
- 変速レバー(ミッションレバー)を希望の位置(1~6速)にします。
- スロットルレバーを適度に引いてエンジンの回転を上げます。
- クラッチペダルを静かに離して走行します。
- 前進で右(左)に曲がる時は右(左)のキャタピラーを止めるレバーを引きます。
コンバインを使う時の注意とメンテナンス
- 服装は長袖シャツと長ズボンを着用して、靴はゴム長靴を履きます。帽子や手袋も必ず着用します。これは体を保護する為でとても重要です。埃を吸わないように必要に応じてマスクをします。
- コンバイン作業をする近くに他人が入らないように安全に気をつけて作業をします。
- 雨や夜露で濡れた稲を刈ったり、草の多い田の稲刈りをすると、胴の下の籾が落ちる網が目詰まりすることがあります。このような時は、時々点検してやらないと籾がゴミと一緒に排出されてしまいます。せっかく作った米を捨ててしまわないように特に気をつけたいものです。
- 特に青い草が多い場合はこれを刈り取らないように、刈取り部を少し上に上げて稲の株の根元より少し上を刈るようにします。
- 一年間保管したコンバインを使う時は、ネズミがコンバインの中に巣を作って中が詰まることがあります。使用前にはよく点検しましょう。
- 運転中に胴の回転が落ちないように常に気をつけます。胴の回転が落ちると、籾が詰まったり、ゴミがうまく排出されないことがあります。
- 運転中に時々袋の中の籾の状態を観察しましょう。籾の増え方の増減や籾に混入するゴミの量で不具合箇所がわかることがあります。
- コンバインを長期間使用しないで格納する時は、ディーゼル燃料タンクの中の燃料は満タンにしておきます。そうしないと温度変化で燃料タンクの中に空気中の水分が結露して燃料タンクに水が溜まることがあります。
- バッテリーは外して冷暗所で保管します。3~6ヶ月に一回程度補充電をします。
その他にも各部を点検して、使用中に気が付いた所や不具合な所は、今年の場合に限らず来年の為にも修理しておきます。
コンバインの各部の名称や基本的な使い方のページも参考にしてください。