草刈機用チップソーの研磨方法とそのコツ
草刈機のチップソーは新品の時は良く切れるのですが、使っていると段々と切れ味が悪くなってきます。先端のチップがまだ残っているのに、刃を交換しなければならないのは不経済です。チップソーの刃を研いでやれば、何度も使えるものです。チップソー研磨機を使ってチップソーの刃を研磨してみました。
新品と使用後の草刈機のチップソーの刃先の比較
刈払機(草刈機)に使っているチップソー(直径230mmのものと255mmがある)の刃先の拡大写真です。新品と切れ味の落ちた刃先の比較です。
このように刃が摩耗すると無理やり草を引きちぎっているようなもので、草刈り作業の能率が落ちます。
また、切れが悪い為にエンジンの回転を上げるので燃料の消費量が増えます。早めに刃を交換するか刃を研ぐのが得策です。
チップソー研磨機を使った研磨方法とそのコツ
チップソーを研磨(目立て)するには専用の チップソー研磨機楽天 を使います。研磨機にはピンからキリまであり、価格も千差万別です。私はフジ鋼業のDケンマーSPチップソー研磨機(刈払機のチップソー専用)を使っています。ディスクグラインダーも付属している割には低価格です。
2~3万円もする高級品もあるようですが、格安なものでも特に問題はありませんでした。この製品は直径230~305mmのチップソーに対応しています。丸鋸のチップソーも研げそうです。
経験を積めば、どんなサイズのチップソーでも、手持ちでダイヤモンド砥石にチップ部を当ててやれば研ぐことができます。でも、チップソー研磨機を使えば各部を簡単に同じ角度で研磨できますので、素人でもDIYで研ぐことができます。
スライド治具のスライド装置とストッパーとスライドテーブルの位置と角度を調整できるのが、チップソー研磨機の良いところです。
チップソー先端逃げ角の研磨方法
チップソーの外周部分のチップの後ろ側がチップより引っ込むように研磨するのが、先端逃げ角の研磨です。
ここが出っ張っていると、チップが草に当たり難くなり切れ味が悪くなります。通常この角度は約10度です。
スライド治具にチップソーを裏(地面に当たる面側を上)にしてセットします。「先端逃げ角」を外周の形状に合わせますが、角度調節ネジ部の刻印の1目盛が目安となります。
スライド治具のストッパーを研ぎしろに合わせて調整します。研磨中にこのネジが緩まないように座金の付いたナットを適度に締めておきます。
チップソーの外周部がダイヤモンド砥石の中央部に当たるようにして研磨します。
チップソーの横すくい角の研磨1
次に、チップソーの横すくい角の研磨をします。木なども切れるようにする為に、山林用にも使えるようにアサリ角をつけて研磨した方が良いでしょう。
スライド治具の横すくい角の調節ネジをスライド治具から見て右側に約10度傾けます。調節目盛の1つ分です。この角度を大きく傾けると切れ味が良くなりますが、耐久性が悪くなります。
この写真のように、チップソーの刃の表側(草刈機にセットする時に上になる側)の部分にあらかじめ一目飛ばしに印を付けておいて、まずこの印のある刃だけを研磨します。
チップの部分だけを研磨するよりも、切り込みの部分も研磨した方が良いと思います。この時チップの角度に合わせて研磨しないで、この写真のようにチップソーのほぼ中心に向かって研磨する方がチップが取れにくいと思います。
チップソーの横すくい角の研磨2
今度は、スライド治具の横すくい角の調節ネジをスライド治具から見て左側に前記と同様に傾けます。
研磨する刃は前記の印の無い部分を同様に研磨します。
木を刈ることがなく、草しか刈らないのであれば、この工程を省いて、全ての刃を前記の方法で研磨する方が簡単でしょう。
木を切る鋸の刃のように仕上げる時はこの行程もやってください。
注意事項
ダイヤモンド砥石楽天 は熱に弱いので、ディスクグラインダーは低速の物(毎秒6,000回転以下)を使ってください。また、研磨する時、刃を砥石に強く当てないで少しずつ休ませながら、刃の温度が上がらないようにして削るようにします。
その理由は、ダイヤモンドは炭素で出来ているからです。ダイヤモンドは硬いだけで、炭と同じもので出来ていると考えてください。そうすれば熱に弱いことがわかると思います。
安全の為に、必ず保護メガネ又はゴーグルを着用してください。また、刃にちょっと当った時に怪我をしないように必ず手袋を着用してください。
ディスクグラインダーを取り付けるバンドは、適度な締めつけにしてください。あまり強く締め付け過ぎるとモーター部が破損することがあります。