キャブレターのオーバーホールと修理のコツ

小型の農機具やバイクにはガソリンエンジンがよく使われています。長く使わないとエンジンがかかりにくいことがよくあります。特に2サイクルのエンジンではキャブレター(気化器)の故障が多いようです。私の経験からこのキャブレターの修理のコツを簡単にまとめてみました。



ガソリンエンジンの簡単な動作説明

農機具やミニバイク等の一般的なガソリンエンジンの動作を簡単に説明します。まず、燃料タンクからフロート部に燃料を送り込みます。

フロートと呼ばれる部分の燃料の液面が常に一定の高さとなるようにフロート(浮き)とニードル(針のようなもの)で制御されています。

(最近の草刈り機ではフロートが無くて、エンジンが水平でなくても使えるダイアフラムを使った燃料ポンプとなっています。)

ここからキャブレター(carburetor)と呼ばれる 気化器楽天 のジェット部で燃料とエアクリーナーからの空気を適度に混合して、エンジンの燃焼室に混合気体を送り込みます。

燃焼室の混合気体はシリンダー部とピストンで圧縮されて、点火プラグによって適度な時期に点火されます。点火された混合気体は爆発的に燃焼してその動力をピストンからクランクに伝えてエンジンを回転させます。

2サイクルと4サイクルのエンジンの違い

クランク軸(クランクシャフト)が1回転で1回の爆発をするものを2サイクルエンジンと呼び、クランク軸が2回転で1回の爆発をするものを4サイクルエンジンと呼んでいます。4サイクルとは「吸入」「圧縮」「爆発」「排気」の4つの行程のことです。

4サイクルエンジンには吸気と排気の弁(バルブ)がありますが、2サイクルエンジンには吸気と排気の弁が無く、シリンダーに開いた穴をピストンで開けたり閉めたりして吸気と排気の弁の動作をさせています。

2サイクルエンジンは弁が無い分だけ構造が簡単になっています。

キャブレターのオーバーホール(分解掃除とメンテナンス)

ホンダのスーパーカブC70のキャブレターの分解写真キャブレター(気化器)が不具合になった場合はキャブレターを交換してしまうのが簡単ですが、その入手に費用と時間がかかります。交換までしなくてもたいていはオーバーホールすればキャブレターの機能を回復することができます。

キャブレターには1mm以下の小さな穴がいくつか開いている物もあります。長年の使用や、長期の保管の後は、キャブレターの中に埃やオイルの不純物等が固着して、ジェットを詰まらせてしまうことがよくあります。ジェットが詰まるとエンジンがかかりにくくなったり、全くかからなくなります。

キャブレターのオーバーホールの手順は、まず、エアクリーナーを外してからキャブレターを外します。各部品を分解する時、外した順に部品を置いていきます。また、最近はデジカメが普及していますので、写真を撮りながら進めていきます。

次にメインジェットやパイロットジェット(スロージェット)を外します。スプレー式の キャブレター洗浄剤楽天 (クリーナー)で掃除をします。小さな穴にもゴミが詰まっていないかどうか明るい方に向けてよく確認してください。

この写真はホンダスーパーカブC70のキャブレターを分解したものです。上の左から、フロート、フロート取り付け部品、フロートニードル、パイロットエアスクリューとバネ、パイロットジェット(スロージェット)、メインジェット、ゴムパッキン類です。

オーバーホールが終了したら、分解とは逆の手順で組み立てていきます。エンジン本体とキャブレターとエアクリーナーとの間にあるパッキンを取り付け忘れないようにします。パッキンが古くなっていれば交換します。

最後にエンジンをかけてスロー調整(アイドリング調整)等のキャブレターの調整をします。調整方法がわからない時はこの辺は初めから絶対にいじらないようにします。ホンダのカブのパイロットジェット(スロージェット)の調整は、全部ねじ込んだ位置から1回転半緩めた位置が標準です。下の写真の上の左のネジです。右にあるのはスローストップネジと言ってアイドリング時のスロー調整です。

キャブレター修理のコツ(ジェット部分)

ホンダスーパーカブC70のキャブレターを分解した写真キャブレターのオーバーホールをするのはとても時間がかかることがあります。すぐにも使いたい時に、エンジンがかからなくて困ることがよくあります。このような時は修理のコツを心得ておくと大変便利です。

キャブレターの故障で一番多いのが、ジェット部の詰まりです。フロートの下のカップ部分を外して、ジェット部を見ることができる構造のキャブレターは簡単に修理することができます。

ジェット部の詰まりは、細い針金(荷札を取り付けている針金や釣り糸)のようなものでつついてやるだけで簡単に取り除くことができます。

この写真はホンダスーパーカブC70のキャブレターを分解したものです。この一番下の大きい方がメインジェットです。その左の小さいのがスロージェット(パイロットジェット)です。

各ジェット部分には細かい穴が何個も開いているので、キャブレタークリーナーを使ってよく洗浄します。荷札の細い針金でつついて穴を掃除します。油面の位置を決めているフロートニードル部は特に念入りにキャブレタークリーナーで掃除をします。フロート部でガソリンがオーバーフローするのはたいていこのニードル部の汚れです。

分解掃除だけでは直らない場合があります。キャブレタークリーナーを併用すれば、細かい部分の汚れも溶けるように取れて気持よく直ることがあります。

草刈機等でキャブレターのジェット部の詰まりを防ぐ方法

草刈り機やミニバイクや発電機等の2サイクルエンジンを長い間使わなかった時は、キャブレターのジェット部が詰まってエンジンがかからないことがよくあります。

長期保管でこれを防ぐには、キャブレター部に燃料を残さないようにすることです。燃料コックを閉めてから、エンジンが止まるまで燃料を使い切ってください。または、フロートカップの下部に燃料を抜くネジがある物ではキャブレターの燃料をそこから抜いておきます。

草刈り機ではフロートが無いので、いつも燃料を使い切ってから格納するくせにしておけば問題ないようです。私はいつもそのようにしています。