灯油改質剤ディーゼルオンの特徴

軽油には軽油引取税という、道路特定財源確保の為の地方税がかかっています。農家の畑や田圃の中だけで使うトラクターやバックホウ等の機器では、道路を走行しないので、軽油引取税を払う必要はありません。このようなディーゼルエンジンの為に、灯油をディーゼル燃料として使えるディーゼルオンという添加剤が販売されています。



軽油引取税とは

軽油楽天 引取税は、地方税法に定められた地方税です。都道府県又は指定市が道路に関する費用に充てる財源を確保することを目的に軽油の引取り(つまり購入)に対して課税されるものです。

軽油引取税の額

1キロリットルにつき 32,100円(1リットル当り32.1円)

軽油引取税の免税制度

船舶や鉄道車両、農林業機械の動力源等の特定の用途に使われる軽油(道路を走行しない用途)は、申請により免税になります。申請とその運用はとても面倒です。私のような小さな農家には、手間と費用と効果を考えるととてもできません。

天ぷら油をディーゼル車に使う場合の問題点

最近、天ぷら油を精製して、軽油と混ぜてディーゼルエンジンの車に使う例があるようですが、これを公道を走る車に使うのは問題があります。つまり、事前に承認を受けて、軽油引取税を払う必要があります。もちろん、公道を走らない農機具等に使うのには問題はありません。

灯油改質剤ディーゼルオンとは

缶入りディーゼルオンの写真

灯油改質剤ディーゼルオンは灯油をディーゼル燃料として使う為の添加剤の一種です。灯油と ディーゼルオンを約200:1の割合で混合して使用します。公道を走行しない車両や機械類に灯油と共に使用することで、燃料1リットル当り32.1円の軽油引取税を削減できます。

ディーゼルオンには燃料噴射ポンプやノズルの焼付きを防止する添加剤が入っています。また、燃焼促進剤入りで、燃焼効率を高め、清浄剤配合で、ピストンやシリンダーがキレイになります。その他、SOx(亜硫酸ガス)、PM粒子の排出量を減少させたりする効果もあるようです。混合灯油は-50℃まで凍結しません。

ディーゼルオンの効果(メーカーの効能)

清浄作用
燃焼室や燃料経路を清浄してエンジンのパワーやトルク、燃費を向上させます。
燃焼促進作用
燃焼促進剤を配合し、灯油燃焼時に比べ出力特性を向上させています。燃焼効率を高めることで、未燃焼ガス、窒素酸化物、一酸化炭素の発生を抑制します。
油性を向上させる
灯油だけだと潤滑性が不足しているので油性を向上させます。
極圧性を向上させる
摺動部の極圧性(耐荷重性能)を向上させ、焼付きトラブルを防止します。
セタン価を向上させるには
セタン価を高める場合は、セタンブースターを併用するか、ディーゼルオンプラス、ディーゼルオンハイパー等を使用します。普通のトラクターに使うにはセタン価はあまり関係ないでしょう。
サビ止め作用
燃料経路を防錆する作用があります。
黒煙抑制作用
黒煙(PM)の排出を抑え、環境や身体への悪影響を改善します。

ディーゼルオンや天ぷら油を農耕用に使用した感想

長年私はディーゼルオンという商品がある事を知らず、農耕用のディーゼルエンジンには軽油を使ってきました。そこで私もトラクターとバックホウ(バックホー)にディーゼルオンを灯油に添加して使用してみました。

使用してみたら、特に何も不具合はありませんでした。軽油の買い置きがなくてすぐにも使いたい時は、石油給湯器の燃料を農耕用に転用できるので、便利だと思いました。

廃天ぷら油ではなくて、未使用の天ぷら油の古いものがあるので、これをそのまま燃料に混ぜて農耕用のディーゼル燃料として使ってみるつもりです。

灯油改質剤を使用する場合の注意事項

ナンバープレートの付いている車両は公道を走行できるものなので、灯油にディーゼルオンを添加して燃料とすることはできません。脱税行為となりますので注意してください。

灯油にはクマリンが添加されていて、検査で灯油が混入されていることがすぐにわかるようになっています。

灯油とは

灯油は、無色透明で特有の臭気を持った液体で、炭素数約9~15の炭化水素を主成分としています。硫黄分は80ppm以下で引火点は40℃以上です。常温では引火しにくい性質があります。

灯油はガソリンなどの揮発油に比べて取り扱いが容易な為、家庭用の暖房機器や給湯器等の燃料によく使われています。

私が子供の頃、脱穀や精米の動力には、発動機というものを使っていました。その燃料には灯油を使っていました。発動機はディーゼルエンジンではないので、灯油で問題はなかったのでしょう。

灯油をディーゼルエンジンに使う場合は、サラサラとしていて、潤滑性が不足しているので問題があります。

軽油と灯油の比較

軽油はディーゼルエンジンに使用する燃料です。ガソリンは原油を熱して約30~220℃の温度で発生する蒸気から作られ、灯油は約170~250℃の温度で発生する蒸気から作られ、軽油は約180~350℃の温度で発生する蒸気から作られています。

つまり、低い温度でも蒸発するのがガソリンで、高温で蒸発するのが灯油や軽油です。蒸発温度で比較すれば軽油は灯油に比べると少し高く、軽油の炭素数は約14~17で灯油(炭素数約9~15)より多めになっています。また、軽油は灯油より凝固点が高く凍りやすい性質があります